閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症とは

動脈硬化は、全身の血管に起こり、様々な病気の原因となります。脳へ血液を届けている頸動脈や脳動脈の動脈硬化により「脳梗塞」が起こります。また、心臓の冠動脈の動脈硬化により「狭心症」や「心筋梗塞」、胸部と腹部をつなぐ大動脈分枝の動脈硬化では「腎血管性高血圧症」などが起こります。そして、足への動脈に動脈硬化が進んで血流障害を起こす病気が「閉塞性動脈硬化症」なのです。

動脈硬化は全身の血管におこり起こる場所によってさまざまな症状、疾患となります。頭頚部の動脈に起これば脳卒中、心臓の血管におこれば狭心症、心筋梗塞、腎臓の血管におこれば人血管性高血圧、腎不全、下肢の動脈に起これば下肢閉塞性動脈硬化症となります。

●下肢閉塞性動脈硬化症
下肢閉塞性動脈硬化症は、足の血管の動脈硬化により、血管が狭くなったり(狭窄)、詰まったり(閉塞)する病気です。足への血流が悪くなることで、足に栄養や酸素を十分に送ることができなくなるため、さまざまな障害が現れます。

動脈硬化が原因であり、糖尿病・脂質異常症・高血圧症・喫煙・高尿酸血症・慢性腎臓病・肥満等の生活習慣病をお持ちの方ほど、起こりやすい病気といえます。また動脈硬化は全身同時に進行するため、狭心症や心筋梗塞・脳梗塞などと合併しやすい病気になります。

●下肢閉塞性動脈硬化症の症状
1.冷感・しびれ感: 
   足のゆびが青白くなることもあります。
2.間欠性跛行(かんけつせいはこう):
   一定距離を歩くと、主にふくらはぎなどが締め付けられるように痛くなり、休まないといけなくなります。歩ける距離が短いほど、
   重症となります.
   一定時間休むとまた歩けるのが特徴です。
3.安静時疼痛:
   じっとしていても足が痛み、夜も眠れなくなったり、刺すような痛みが持続することもあります。
4.潰瘍・壊死:
   治りにくい潰瘍ができたり、黒く壊死することがあります。


●下肢閉塞性動脈硬化症の検査
・ABI検査(上腕・足関節血圧比);
 両腕と両足の血圧を同時に測り、比率をだします。
・下肢動脈エコー(超音波)検査:
 下肢の血管は観察がしやすく、この検査に適しています。

●下肢閉塞性動脈硬化症の治療
・動脈硬化増悪因子の治療(高血圧症、糖尿病、高脂血症、肥満、喫煙の管理)
・運動療法;
 1回30分程度、できれば1日2回を目標に最低でも週に3回程度するのが好ましいです。
・薬物療法
 血液をサラサラにする薬などで、症状の改善を期待できる場合があります。

これらの治療でも症状改善が期待できない場合、カテーテルによる血管内治療、外科的バイパス手術などを行う場合があります。